店舗・事業所の対策
店内掲示とお客様への伝え方
店内掲示は、何を守ってほしいかを短く具体的に伝えるほど読まれます。貼る場所、言葉、更新のしかたを実例で整理します。

店内の掲示は、守ってほしいことをお客様に伝えるための道具です。ところが、文章が長い、貼る場所が悪い、更新されていないという理由で、ほとんど読まれない掲示も少なくありません。ここでは、伝える内容の絞り方、貼る場所、言葉の選び方、読みやすさ、更新のしかた、そしてスタッフが説明できる状態をつくることまでを順に整理します。
伝える内容を三つに絞る
一枚の掲示で伝える内容は、三つまでに絞ります。たとえば、手指の消毒への協力、体調がすぐれないときの入店の遠慮、店内での会話時の配慮という三つです。項目を増やすほど、どれも印象に残らなくなります。どうしても伝えたいことが多い場合は、掲示を分け、場所ごとに一つずつ置きます。優先順位は、お客様の行動が実際に変わるかどうかで決めます。
貼る場所は判断の直前
掲示は、お客様がその行動を取る直前の場所に貼ります。消毒の協力を求めるなら消毒液のすぐ上、入店時の配慮を求めるなら入口のドアの前、会話時の配慮なら席の近くです。レジ横にまとめて貼ると、視線は通っても行動にはつながりません。目線の高さに合わせ、文字が小さくなりすぎない大きさで掲示します。遠くからでも読めるかどうかを、店内を歩いて確認します。
言葉は短く、行動で書く
文章は「ご協力ください」で終わらせず、してほしい行動を具体的に書きます。「入店時に手指の消毒をお願いします」「体調がすぐれないときは、ご来店をお控えください」のように、動作が思い浮かぶ言葉を選びます。専門用語や難しい漢語は避け、短い文を並べます。命令口調にならないよう、依頼の形にしながらも、あいまいな表現は使わないというバランスを取ります。
読みやすさと多言語への配慮
文字の大きさ、行の間隔、背景と文字の色の組み合わせを確認します。薄い色の文字や装飾の多い書体は、離れた場所から読めません。外国から来たお客様が多い地域では、やさしい日本語や英語を併記すると伝わりやすくなります。ただし、すべての言語を並べて情報が過密になると読まれなくなるため、要点だけを短く併記するのが現実的です。政府広報オンラインなどが公開する多言語の資料も参考になります。
更新と撤去のタイミングを決める
掲示は貼りっぱなしにすると、古い情報が残ります。内容を見直す日を決め、終わった取り組みの掲示は早めに外します。日付を小さく入れておくと、いつ時点の情報かが分かり、更新の判断もしやすくなります。制度や考え方が変わったときは、古い掲示を残さず、新しい内容に差し替えます。
スタッフが説明できるようにする
掲示と同じ内容を、スタッフが口頭でも説明できるようにしておきます。お客様から質問を受けたときに答えられないと、掲示の意味が伝わりません。朝礼などで掲示の内容を一度読み合わせ、なぜそのお願いをしているのかを共有します。説明の言葉をそろえておくと、対応にばらつきが出ません。
掲示を作る手順
掲示を作るときは、まず伝えたい行動を一つ選びます。次に、その行動が起きる場所を決めます。続いて、その場所で読める大きさと文字数を確認します。最後に、日付を入れて掲示します。この四つの手順を踏むと、作り直しが減ります。いきなり文章を書き始めると、伝えたいことが増えすぎて、読まれない掲示になりがちです。
作った掲示は、一度スタッフに見せて意見を聞きます。現場の人が「この言い方だとお客様に伝わりにくい」と感じる点は、たいてい正しい指摘です。お客様の目線で読み直す習慣をつけると、掲示の質が上がります。
よくある失敗
よくある失敗は、掲示を増やしすぎることです。入口、レジ、トイレ、席にと貼っていくと、どれも印象に残らなくなります。次に多いのは、古い掲示を残すことです。制度や方針が変わったのに以前の掲示が残っていると、お客様は混乱し、スタッフも説明に困ります。掲示を見直す日を決め、不要になったものは早めに外します。
文字が小さすぎる、背景と同系色で読みにくい、といった見た目の失敗も目立ちます。店内を歩いて実際に読めるかを確かめるだけで、多くの失敗は防げます。
まとめ
掲示は、内容を三つに絞り、行動の直前の場所に貼り、短い行動の言葉で書き、読みやすさに配慮し、定期的に更新し、スタッフが説明できる状態にすることが大切です。作り直すのは一枚からでかまいません。まずは入口の掲示を一つ選び、伝えたいことを三つに絞るところから始めてみてください。